【WASHOKU アカデミー_vol.1】初物だいすき!初夏の「初鰹」

「初鰹(がつお)」がやってきました。春から初夏にかけ、黒潮にのって太平洋岸を北上するカツオは「初鰹」とよばれ、脂がたっぷりのった秋口の「もどり鰹」にくらべ、さっぱりとした味が特徴です。生姜、ニンニク、ミョウガにシソ、そして新タマネギ、さわやかな薬味をたっぷりと用意して、厚めにカットしたものをじゃんじゃんいただきましょう!
初鰹2
 
さてこの初鰹。すこし時代をさかのぼってみると面白いことがわかるんです。初物を熱狂的に好んだ江戸っ子たちにとって、旬のカツオは別格も別格、誰がそれを買うのか興味津々だったといいます。旬の走りは珍しさが先行して値段も高め、すこし待てば盛りとなり味や値段も安定するものを、それを待つのは野暮というもの、初物を食することが江戸っ子の「粋」だったのです。
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」。山口素堂にるこの俳句は、さわやかな緑をみながら、ホトトギスの鳴き声をきき、カツオを食す、それこそが初夏の粋な過ごし方であることを詠んでいます。
どこまでも「粋」を好んだ江戸っ子たち、初鰹に熱狂する理由はほかにもあったようです。当時「初物七十五日」ということわざがあり、季節はじめのものを食べると寿命が75日のびると言われていました。特にカツオは鮮度が命、いち早く食することで、(長寿の)ご利益、(粋であるとの)ステイタス、そして何よりその美味しさを人々はこぞって追い求めまたのです。
初鰹_絵
さて現代の私たちはといえば、しわあせなことに、魚やさんやスーパーに立ち寄れば難なく「初鰹」にありつくことができます。魚類のなかで最速、寝ているときも泳いでいるという疲れ知らずのタフな魚。そんなカツオだけに、滋養強壮にとてもよいそうです。
カツオの、とくに血合い部分にはビタミンB群、鉄分、ミネラル類が多く含まれています。このほか血行をよくするEPA、脳のはたらきを活性化するといわれている不飽和脂肪酸、血圧や血中コレステロールをさげるはたらきがあるとされるタウリンなど、栄養成分はもりだくさん。
いち早く季節を感じることを「粋」とした江戸の人びと。それは、いわずとしれた健康にもつながる習慣だったのかもしれません。今もむかしも「季節とともに」。世界に誇れる私たちの暮らしかたです。
 
(参考)焼津水産化学工業株式会社HP
(photo) Thinkstock, flickr/hiraoka kimitake

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