原色「宇治金時」図鑑 2014 〜 涼をもとめて

数年来の猛暑も手伝って「かき氷」がブームです。
マンゴーにチョコレートはたまたシャンパンまで、シロップもいろいろですが、天然水でつくるふわっふわの氷がトレンドのよう。
昔ながらのかき氷をいただく場所といえば「甘味処」です。その昔、東京の町には、あんみつやお汁粉などをたべさせてくれるお店がたくさんありました。
甘味と一緒にあべ川餅や磯辺巻き、お赤飯、いなり寿司なども売っていたそうです。いまでいうファーストフード店のような役割で、学校がえりの女学生や若いカップル、おつかい途中で寄り道をする小僧さんなどでにぎわっていたとか。
流行りのお味も気になりますが、今回はいつの時代も愛され続ける「宇治金時」にスポットをあて、評判の良いお店をご紹介するといたしましょう。
■虎屋茶寮(港区・赤坂)
創業1635 (寛永12年)。一見とてもシンプルな宇治金時ですが、老舗和菓子店のこだわりが随所にかくされています。抹茶蜜に使用されている抹茶『京の調べ』は、古くから銘茶とされる宇治茶を使用。これに純日本糖である「和三盆糖」を加えしあげた濃厚な抹茶蜜が絶品です。 詳細はこちら
toraya
 
■鹿の子(中央区・銀座)
昭和21年創業。あんみつや鹿の子まんじゅうで有名なこのお店、宇治金時もまけてはいません。「金時(小豆)はどこに?」。ご安心ください、ざくざく食べ進んでいくとなかにたっぷりの粒あんが入っております。詳細はこちら
鹿の子_4
 
■だるまや餅菓子店(北区・十条)
昭和22年創業。下町情緒いっぱいの十条駅前十条銀座に店を構えるこのお店、使用する抹茶のグレードにこだわり、二代目店主が50年炊き続けているという小豆を使っています。いまはよく聞かれるようになった「天然水」で作る氷に以前からこだわってきました。
自然水を自然に凍らせて作る天然水は、沢水や湧き水などの質のよい水と厳しい寒さが必要なため、全国でも限られた場所でしか生産されていません。その絹のような舌触りは、口にいれたとたんはかなく溶けていくようです。詳細はこちら
 
志むら
■ちもと(目黒区・八雲)
昭和40年創業。ふわふわの氷の上には濃厚な宇治抹茶蜜と練乳がたっぷりと半分ずつ。氷の下には、こしあん、つぶあん、水ようかん、八雲もち、白玉、栗、など宝石箱のように和菓子がかくれています。「おまかせ」というメニューですが、入れるものをチョイスできるので自分だけの味を楽しむのもいいかも。もちろん普通の宇治金時もありますよ。
詳細はこちら
ちもと
■志むら(豊島区・目白)
昭和16年創業。このお店だけは、人気看板メニュー「氷生いちご」を紹介させてください!氷山のようにそびえる氷に、生いちごシロップがたっぷり。どのメニューであっても大切にしてるのは「家庭で作る」感覚。創業時からのメニュー「九十九餅」もぜひ。詳細はこちら
志むら_いちご
■甘いっ子(杉並区・西荻窪)
昭和40年創業。店主が高齢となったため元々お客さんだった方が店を継いでいるという暖かいストーリーがあります。朝から赤えんどうを炊くのも、小豆を12時間煮込むのも、白玉や求肥をつくるのもすべて現店主がお一人で。こうした丁寧な手仕事で生まれた「いちごミルク金時」は噂が噂をよび大評判に。美しい彩り、いちごと小豆の量は驚きのボリュームです。詳細はこちら
甘いっこ
 
■船橋屋こよみ(渋谷区・広尾)
創業文化2年(1805年)。くず餅の老舗•船橋屋が創業200年を記念して平成17年にOPENさせたのが「こよみ」です。甘味が美味しいのはもちろんですが、広尾商店街をぬけた角にあるヨーロッパ風の小粋な建物がおしゃれ心をくすぐります。この夏、老舗コーヒー専門店「ミカド珈琲」とのコラボで生まれた「珈琲かき氷」が話題になりました。詳細はこちら
船橋屋_2
 
遠く平安時代、清少納言の『枕草子』「あてなるもの」(上品なもの、良いもの)の段に登場する「かき氷」。悠久の時を経てなお私たちをさわやかにしてくれるこのお菓子、暑さ対策の準備ができたら、さっそく食べにでかけませんか。
【参考】東京五つ星の甘味処(岸 朝子/東京書籍) 【表紙写真】船橋屋こよみHPより

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です