いつか必ず!浴衣の最高峰「雪花絞り」

壇れいさん出演のSUNTORY「金麦」のCMはすっかりおなじみですね。新たなバージョンが放映されるたび、忘れかけていた日本の季節感を思い出させてくれます。

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一反一反手仕事で染め上げる「雪花絞り」


 
CMシリーズ3年前の夏バージョンで、彼女がまとうことにより一躍世に知れ渡ったのが「雪花絞り」。
雪花絞りとは、浴衣反物の染め方の一種で、一反の布を縦に四つから八つにおり、端から三角形にたたみこんでいき、その両側に板をあてひもで強く締め、織り目や隅を染料に浸して染め上げます。
一反一反手作業でおこなうため、二つとして同じ染め上がりはないのです。量産ができずとても希少価値の高いもの。国の伝統工芸に指定されています。
現在、この技術的に最も難しいといわれる八つ折り技法を使って染め上げることができるのは、なんとお一人なのだそう。
このまだ見ぬ「雪花絞り」に触れられるとあって、先月、神楽坂「フラスコ」で開催された「大人女子浴衣展」へでかけてきました。
 
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色とりどりの雪花絞り。二つとして同じ柄はありません。


出展は、佐賀県は唐津の創業112年老舗呉服店「ゑり幸(えりこう)」さん。老舗ならではの見立てで、帯のあわせ方や、自分の体型にあわせどんな柄を選んだらよいのかなど丁寧にアドバイスしてくれました。
お目当ての「雪花絞り」を扱うのは、京都の絞り専門問屋「藤井絞」さん。
今や大人女子のあこがれ「いつかは雪花絞りの浴衣を」との声も多いといいます。そのお値段たるや、一反10万円!プラスお仕立て代、帯、小物…。なんともお金がかかります…。とはいえ、世界にたったひとつの自分だけの夏の晴れ着、となるのです。
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反物を小さな三角形に畳み込み、板ではさんで染め上げます


「素敵な雪花絞りの浴衣、たくさんの人が着てくれるといいですね」とのなげかけに、
「たくさん出たらあかん。買いたいと思ってがんばる、いつかは『雪花絞り』、と思って憧れる。高いけどそれだけの価値がある。いつかは!というところに位置づけたいんです。売れればいいということではない。分かるお客さんだけに。これ持ったらしばらくいらんわ、という、そんなお客さんに」と、藤井絞の若旦那は、絞りの最高峰に寄せる思いを語ってくれました。
最高級でありながら、洗濯機で洗えて、サイズが変わればお仕立て直し、ととても実用的。下に長襦袢を重ねれば「夏着物風」にも楽しめるというところも、着物の嗜みを知った大人女性にぴったり。
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格子の入った生地は、直接肌に触ないのでさらっと涼しい


“ことしは手が届かないな…。だとしても、いつかは!” そんなあこがれをいただきつつ、着慣れた浴衣で花火大会へ足を運ぶといたしましょう。

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